始まり。

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「セナはしてくんなかったじゃん。」 私はおどけて言った。でもセナは泣いたままだ。 「だって恥ずかしかったんだもん・・・」 なに真面目に返してんだよ。いつものセナはどこ行った? セナは私の事を本気で好きなの? 「なんで泣いてるの?こっち向いてよ。」 「アオイが好きだから・・・リサコにとられたくない。」 「アオイも好きだよ、セナの事!」 頭を撫でて私はニコニコして話しかける。 セナの頬はぷっくりと膨らんでいる。 しかしセナはこっちを向いてくれない。 今のセナは幼くって可愛い。いつもは切れ長の目がかっこいいのに。 「違うもん。アオイのことが本当に好きなんだもん。 リサコと一緒に居ないでよ。セナのとこに来てよ・・・」 急に振り返ったと思えば飛びつくように抱きつかれる。 今日は甘えたいだけだった、そう思おう。 「んじゃ寝よっか。」 セナを横に寝かせ、布団をかぶる。 写真は気付かれないようにベッドの下に隠した。 側にあったTシャツを着る。下はそのままでいいか。 セナの瞳が濡れてキラキラしている。 久しぶりに泣き顔を見た。いつ見ても泣き顔は可愛い。 普段の顔は化粧っ気はなく、この大きな胸さえなければ美少年だ。 コイツのギャップには何度やられたことか。 「ん。」 目をつぶってキスを待っている。 まだ顔は赤いままで酒の匂いがする。 私は唇を重ねた。
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