断罪の牙

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  「今、この世界は未曽有の危機に晒されている。それに気付いているのは、我らだけだ!」 静謐が支配する空間に、重苦しい男の声が響く。 椀をひっくり返したようなドーム型の講堂の中には大勢の魔導師が所狭しと顔を並べていた。 その講堂の、ひときわ高い檀上に、その男の姿はあった。 空虚とも表現できる大きな瞳に、良く手入れされた口髭。 大柄の体躯に、自身を誇示するような真っ赤なマントが良く似合っている。 背後にでかでかと飾られているのは、彼等が信奉する偉大な革命家の肖像画。 それはリーズブルグ家を打ち倒し、庶民に自由と人権を与えた男、ザルファー・シュナイダーだった。
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