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さて、姫は何故目覚めたのか。
その答えはずっと書いてきたのだが、「百年の時間が経ったから」である。
「白雪姫」とともに、王子様のキスで目覚めると話の代名詞とも言える「眠り姫」であるが。
王子様はあまり関係がない。
白雪姫にしたって王子様のキスで目覚めたのではなく、王子様がキスをしようとして棺を揺らした拍子に喉に詰まった毒リンゴが取れただけなのだ。
では、なぜ王子様が出てくる必要があったのか?
噂を聴いた王子様であるが誰にその話を聴いたのか?事情に詳しい者が百年後にもいたのだろうか?
そもそも、死者が出るほどに繁殖した茨があったはずだがその描写は出てこないのも謎である。
その疑問を解決するため少し読み進めてみよう。
姫が目覚めた後のクダリには
姫と王子はその日のうちに結婚し幸せな生活を送った。
とある。
素晴らしく手が早いと言いますか、行動力があると言いますか。
もはや計画性を感じずにはいられない。
やはり、ここでも出てくるのは魔法使い組合であろう。
魔法使い組合なら百年後の何日に目覚めるか把握しているはずだし、自然に繁殖した茨を取り除く事も容易だろう。
魔法使い組合が絡んでくるなら、王子様の必要性も見えてくる。
さて、また宗教闘争の話に戻るが。
百年たってもA教とB教のいがみ合いは続いている。
姫が百年後には目覚めると言う希望もある。A教が邪教であると言える材料もある。
B教の勢力は衰える要因がないのである。
ここで、姫がA教を国教とする国の王子と結婚したらどうだろう。
魔法使い組合の狙いはそれである。
まず、王子様に何日に城に行けば美しい嫁が見つかると吹聴する。
これは、王子様であったとは限らないか。そろそろ結婚相手をと思うその国の国王であっても変わりはしないだろう。
少なくとも取り入るだけの地位であった事を考えれば王子様の国はA教の国であろう。
王子様が来るタイミングを見計らい茨を除去する。
日時を知っていたのは、魔法使い組合だけとは限らない。
今まで看破した者がいなかった事を考えれば、魔法使い組合側が秘密裏に妨害していたと考えるのが自然か。
最後に即結婚するように仕向ける。
これで、計画は完了である。
姫の人生は最初から最後まで魔法使い組合の手のひらの上であった。
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