旅行へのお誘い

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イズミはヒロに誘われて家へ行った。 行くとヒロの図書室のような部屋へ通された。 座布団に座って紅茶を出すとヒロは言った。 「ペンションへ泊まりにいきませんか?」 「え!いいの?行くよ」 嬉しい申し出。 イズミに異論はない。 「ヒロと旅行に行けるなんて夢みたい」 明るく笑った。 しかし、良く考えてみると気懸りもある。 「二人で旅行なんて、お父さんが許してくれるのか?」 「二人で何て言っていません」 「何だ。誰と一緒?」 「父と」 「ということは家族旅行に同行する感じ?お母さんも?」 「行きません。三人です」 『何故に?』 イズミはヒロの父と旅行する理由など想像つかない。 お父さんと一緒では緊張しまくりだと思ったイズミは、行きたくなくなった。 「お金ないし、遠慮しとくよ」 「お金はこちらで出します」 「出してくれるの?」 随分サービスがいいと、不思議に思った。 「それは嬉しいが、俺の両親が許してくれるかな」 イズミは腕を組んで、険しい顔をした。 「さっきはそんな事いわずに、喜んでいたくせに。逆に二人で行く旅行だったら、許してくれたんですか?」 ヒロの呆れた視線に、イズミは焦った。 「そんな事はないよ。でも何故そんなに親切なのかな?」 「実はこの旅行は遊びじゃなくて、仕事です」 「何の仕事?」 「父の探偵事務所に、ペンションのオーナーから事件調査の依頼がありました。それでそのペンションへ行くことになりました」
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