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大学受験、前期日程が終了した翌日。
僕は数人の友達と共に憂鬱な遊びへと繰り出していた。
駄目元で受けてみた地域国公立大学は元々の期待を裏切らず、駄目駄目だった。
僕はこれでも理系の学生なのだが、その日の試験では数学理科共にほぼ白紙のまま問題用紙を提出した。何も分からなかった。
受験したのは工学部だった。そこの大学の工学部は地方では珍しく、かなりレベルの高い宇宙工学について学べるというのがその理由だった。
中途半端に捨て切れていない宇宙への夢。見苦しい未練じみたそのあがきも結局は無駄に終わった。一応中堅私立大には合格している。公立の後期日程は初めから受けるつもりがなかったので、僕の受験はこれで終わりだ。
勉強から解放された快感はまるで感じない。そもそも開放感を感じるほど勉強に打ち込んでもいなかった。
仲のいい友達らとゲームセンターに入っても、カラオケで得意の歌を歌っても胸のモヤモヤは晴れない。心配した親友の天音がどうしたのかと訊いてきたが、何もないと答えた。
実際、自分でもどうしてこんなに憂鬱なのかよく分からなかった。
初めから分かっていたことだ。僕の学力では到底国公立には届かないこと。
私立に進学することは初めから親も納得済みだったし、予定調和に終わったといえる。
それなのに、どうして僕の心はこんなに晴れないんだ。
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