いちにちめ。

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少女がジェスチャーする手をもこちらに伸ばす。 何をする気だとモゴモゴ問いかけるも、少女は無視して――俺の目の前にあったカゴに盛られたお菓子をひとつ掴んだ。 そしてお菓子を掴んだまま少女は手を引こうとするが、手だけがガラスを通過し、お菓子はガラスに阻まれてこちらがわへ落ちてくる。 それを見た少女が(゚д゚)な顔をし、再度挑戦。……またお菓子だけが戻ってくる。 少女(゚д゚)ポカーン。 なぜだ、おかしい!というように顔をしかめ、またまた挑戦…で、やっぱり失敗する。 その一連の動作を繰り返すうちに無駄だと悟ったのか、俺の口をふさいだままショボくれるツインテ少女。 落ち込むのは勝手だが、いい加減手を離してくれないだろうか。鼻もふさがれてるからわりと苦しいんだが。 俺が少女の腕を叩いて(とはいえなぜかすり抜けているが)ギブを唱えていると、ふと先生の運転する車が止まる。 三「椎名、お前んちに着いたぞーっと…お?」 言いながら後部座席を振り向いたと思われる先生が「おぉおぉぉ?」と狼狽えてるんだかなんだかわからないような声を発しつつ、一旦ドアを開けて外にでて、俺側の後部座席のドアを開けた。 同時にツインテ少女が口をふさぐ手を外して車の中に入ってくる。 ちょっなんで君が入ってくるの。おかしいだろ。今のどっかいくパターンだったろ。つまりどっかいけwwwwww なんとなく少女を凝視する俺。 少女を凝視する俺を凝視する先生。 少女 は ニコニコと している!▼ 三「椎名…その子「こんばんは。初めまして、蓮見椎名さま!」…さま?」 俺の両手を両手で包んで、瞳を輝かせながらテラアニメボイスでそういい放った少女。おいこらまて。 なんか今までの経験(厨二小説読みまくった過去)と勘から、厄介事に巻き込まれる予感しかしないんだが。 この子は死神とか天使とかいって俺を異世界に連れてくとかそういう… つまりは俺にとって疫病神でしかないであろう存在だと断言しよう。  
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