第2章:下 銃弾と

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 お姉さんがそう言うので、俺は失礼して装備の物色に入った。  アスガルド局員に共通な装備として制服と通信器具がある。制服とは先日、裏切る前の雪城レン=ベストラが着ていたジャケットのことである。ヤツが所属していた情報班は浅葱色、俺が所属することになる戦闘班は深い緑色だ。これとは別にズボンや靴の制服もあるのだが、そちらは実戦的過ぎて普段から着るのはちょっと……という感じなので基本装備には入っていない。靴くらいはサイズ合わせしておいてもいいのだが、まあそれも追い追いで構わないかな。  適当にサイズの合いそうなジャケットを試しに羽織ってみる。……うん、これはちょっと大きいな。  何度か試して一番しっくりきた物を手に取る。次は通信器具。こちらは簡単な無線のようなもので、一種類しかない。特に迷うこともなく手近なところにあったものを取る。後は武器の類か。 「なあ、武器も勝手に持って行っていいのか?」  俺は自分の机で何かの作業をしているお姉さんに呼びかける。しばらく返事がなかったので、聞こえてないのかと思ったが、それはどうやら単純に作業をキリのいいところまでやりたかっただけだったらしい。少ししてお姉さんが俺の方に歩いてくる。 「ああ、好きなのを持ってってくれて構わねーぜ。ただ、一応所有者登録するからちょっと待ってな」  言うとお姉さんは自分のデスクからメモ帳を持ってきた。結構アナログだな。  お姉さんが戻ってきたのを確認してから俺は武器の物色に入る。  まあ物色とは言っても欲しい武器は既にだいたい決まっているので、悩むこともないが。  とりあえず携行用のナイフと銃。それに能力を使うための剣だ。
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