第2章:下 銃弾と

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 ナイフと銃はすぐに決まった。もとより殆ど使う予定もないので、丁寧に選ぶのも時間の無駄だ。  バタフライナイフと小型の自動式拳銃を見つけた。持ってみたところ、重さ的にも邪魔になりそうになかったので即決する。 「後は剣……だな」  こちらはこだわる必要があった。何故なら俺の能力(世断刀)は剣なしでは発動できない、すなわちまともな戦闘を行う際、俺は確実に剣を握っていることになる。一番の相棒にもなる装備だ、間に合わせの武器だとしても、適当に選びたくはなかった。  いずれ、時間が出来たときにでも一周目で愛用していたものと同じデザインの剣を作ってもらえるよう装備課に掛け合ってみるつもりだが、それには時間が掛かる。少なくとも目下の懸念事項である“狙撃事件”解決まではここにある剣で間に合わせるしかない。 「……これは長い、これは……軽すぎ。こっちは……って、なんだこれ!? 錆びてんじゃねえか!!」 「あはは、悪いねー。手入れしてる暇がなくてさー」  お姉さんは悪びれずに笑う。俺は一気に不安になった。  武器庫と呼んでも差し支えのない装備課の中ではあるが、まともに使える武器となると意外なほど少ない。それもそのはず、きちんとした武器は局員の私物装備となっていて、この場にはないからである。要するに、ここは誰もが「いらない」と判断した武器の保管場所。武器のワゴンセール会場なのである。 「しっかし、ごちゃごちゃしてるなー」  ちょっとした店一つ分くらいのスペースがある中に所狭しと物が置かれている様は圧巻だが、探し物には不向きだ。乱立する棚や段ボール箱が室内に迷路を形成している。どこに何があるか把握しているのは、この部屋の主であるお姉さんだけであろう。 「お、ちょっとちょっと。あの剣なんていいんじゃね?」  そう言ってお姉さんは俺の背後の棚を指差す。えっと、どれどれ……。 「って、オイッ!!」  俺が振り返るよりも早く、お姉さんが棚の上の剣を取ろうと手を伸ばす。俺はお姉さんと棚の間に立っていた為、お姉さんが剣を取ろうと棚に近づくと自然俺に密着する形になり、お姉さんの胸部の主張が強すぎる二つの膨らみが俺の顔のすぐ傍に――!!  落ち着け俺、さっきかなめに暴露してしまったところだろ。俺は貧乳好きだ。巨乳なんて脂肪の塊。落ち着け落ち着け。  ……って無理!!
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