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~それは今に伝わる武勇伝"桃太郎"のお話~ その昔、日本各地を鬼が闊歩していた時代。 小さな村に桃太郎という少年がいた。 齢四つの幼子である。 少年はある一組の老夫婦と暮らしており、ある日川へ洗濯に行った老婦人が桃の木の下に捨てられていたのを見つけて連れ帰ったのだそうだ。 故に名を桃太郎とつけたのだという。 そんな桃太郎には不思議な力があった。 「ばあさまぁっ!」 「おやお帰り、桃太郎。どうしたんだいそんな顔をして。何かあったのかい?」 村の子供に誘われ、初めて外に遊びに行っていた桃太郎。 彼は帰るなりその瞳いっぱいに涙を浮かべて老婦人へ走り寄る。 「みんなと遊んいでたら猫や犬たちがたくさん寄ってきて話しかけてくるんだ…けどみんなにはわからなくて…」 桃太郎には動物の言葉がわかるという。そのため、多くの動物が桃太郎に寄ってきては話しかけるのだ、と。 「ばあさまやじいさまも動物の言葉はわからない?僕だけがわかるなんて変だよね…だから父上と母上に捨てられたのかな?」 桃太郎の今にも泣きそうな顔を見据え、 老婦人は彼の手を取り、彼に目線の高さを合わせ言い聞かせるように言った。 「動物たちの言葉がわかるのを誰かが変だと言ったかい?」 「…ううん、誰も。みんな凄いねって誉めてくれた」 「そうだろう?それにお前がうちに来た時は、まだ言葉を喋らない赤ん坊だった。 動物の言葉がわかるかどうかなんてお前の両親はわからなかったさ。」 老婦人は桃太郎の手をそっと放し、今度は優しく彼の両頬を包み込むと、更に続ける。 「その力はきっと捨てられたお前を憐れんだ仏様が下さったんだよ。恥じることはないさ」 「…うん、」 「ただ怖がる子も居るだろうから、なるべく人の居るところでは動物たちと話さん方がいいだろうねぇ…、」 「うん…、」 「……さぁ、お腹空いただろう?ご飯にするから手を洗っておいで。あとその辺にいるだろうからじいさまを呼んできてくれるかい?」 「…うん!」 老婦人はにっこりと笑い、桃太郎を後押しした。 そして舞台の主役は少年から青年へと成長した桃太郎へと変わる…
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