第十一話

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ナオ「以前にも言ったじゃないですか?僕はあの時トイレに行ったんです。ステージに上がるとどうしても緊張してトイレに行きたくなるんですよ」 岩倉「では事件が起きた時は、それで偶然助かった訳か?しかしねえ…トイレに行くふりして、何処か別の場所で待機して殺戮を見てたんじゃないのかね?」 ナオ「本当にトイレに行ったんです。トイレから戻って急いでステージに向かっていたら悲鳴や叫び声や銃声が聞こえて…僕は恐る恐るステージを覗いたら、ヒロ達が観客のファンに向けて銃を撃っていて…」 岩倉「それで、その後何をしてたんだね?」 ナオ「僕は二人にやめてと言って止めようとしたんです。でも、二人は僕に銃を向けて撃ったので、僕は咄嗟に転んで避けて、逃げたんです…」 岩倉「逃げて、それから?」 ナオ「逃げたら、ヒロ達が追い掛けて来たので無我夢中で僕は走っていたら、撃たれて倒れてしまって…そしたら、ヒロ達がやって来て僕にとどめをさそうとしたんですけど、二人共弾切れ起こしたみたいで銃を捨てて、刃物を持ちながら僕に近づいた所を右京神父が助けてくれて…右京神父は刃物に切られながらも、僕を背負ってそのまま逃げて、どこかの部屋に隠れて二人が居なくなるのを待ってたんですよ…そして、しばらくして部屋を出てみたら、もうヒロ達は居なくて、その後、機動隊の人達が来て僕達を救急車まで…これで良いですか?」 真実と半分違うが、そう言ってナオは話した。 右京神父から、事前にこう話すように言われたからだ。 ハイネ達の事を言ったら話しがややこしくなるから。
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