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 ある秋の事。  よく雨の降る年だった。  長い石段を登った先には朱色の鳥居。  辺りを覆う木々はまだ色づいていない。  社と賽銭箱、左右には阿吽の狐。  山の中腹に小さな小さな稲荷神社がある。  社の主はまだ若い雪狐(セッコ)。  時折、村の婆さんがお稲荷さんをお供えしにくる、そんな神社があった。
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