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 社に招かれると、中には座敷。  座敷の中央に囲炉裏があり、奥に小さいながら勝手が備わっていた。  一人暮らすには十分な広さ。 「冷えたでしょう?今、お茶を淹れますねー」  濡れそぼった髪を手拭で拭わせながら、声をかける。  返事をしようとした矢先に、盛大に腹の虫が鳴った。 「…それより腹が減りました。一緒に飯食いません?」  懐から湿ってしまった包みを取り出して見せる。 「なら、味噌汁作りましょう…かっ!?」  開いた包みから、仄かに甘い醤油の匂いがした。 「おいなりさん!!」  耳を真っ直ぐ上に勢い良く立たせ、即座に反応する。 「おいなりさん!おいなりさん!味噌汁作る!」  いそいそと勝手に降り、鍋に湯を沸かし始める。  あまりの喜びように、吹きつつ濡れた衣を脱ぐ。  雪狐が用意してくれた衣を着なおし、勝手に立つ雪狐の背を微笑ましく見つめた。
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