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「ホシガラス、というのです」  雪狐が作ったお揚げと大根の味噌汁を啜りながら黒い鳥が告げる。 「ほひがぁす?」  おいなりさんを頬張りながら、雪狐が首を傾げる。  初めて聞く言葉だった。 「はい、空の星に鳥のカラスです。季節毎に変わる空の星を運ぶ渡り鳥です」  夜に紛れる黒い羽に目を遣り、星烏は続けた。  季節の変わり目になると旅をし、星烏が訪れた土地は夜空の星を変える。  そんな風に、各地を旅して廻るのが役目であり、楽しみでもあった。 「この土地には初めて寄ったのですが、この雨でしょう?」  そう言って苦笑して見せる。
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