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「まあ、大坂の件は止めきれなかった総司や斎藤達も悪いがな」
「‥総司達は悪くないよ。だってあんなに芹沢さんの力が強いなんて思わなかったし」
まさか男二人がかりでも止まらない怪力って予想できるわけないじゃん。
「隊士が何人もいんだから、総司や斎藤だけじゃなく声かけて全員で芹沢さんを羽交い締めにするなりなんなりは出来ただろうが」
「う」
言われてみればそれもそうだ。
事情を知っている山南さんや新ぱっつぁんもいたんだから、総司達と同じようにあらかじめ声ををかけておけばよかった。
「この脳足りんが」
頭にあった手が頬の方へ移動し、片頬を強くつねる。
「いい加減こっちの身にもなりやがれ。毎度心配かけやがって」
「‥ごめんなさい」
頬をつねっている土方さんの手に自分の手を重ねる。
「でも、みんなに心配も迷惑もかけたくなかったんだよ。結果的にはかけちゃってるけど」
「お前は不器用だからかけねえなんてことはできねえだろうがよ。それに何が迷惑だ。どちらかと言えばお前に面倒かけてるのは俺らだろ」
はあ‥とこれまた深い溜め息を吐いて、だからよ、と言葉を続ける。
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