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「うん、よう似合うとるわ」
「ありがとうございます」
美祢さんが用意してくれたのは臙脂色の上衣と灰色の袴。
数十分かけて着せてもらい、一緒に着付けの仕方も教えてもらった。
着流しならなんとか着れるんだけどね。
袴は初めてだからさっぱり。
鏡を見ながら、用意されていた白い髪紐で髪を一つに結い上げた。
結い上げた髪を見ながら、はたと気づく。
初めてだから苦戦すると思ったのに意外とすんなりできたな?
「そろそろ来はる頃やな」
美祢さんが呟くと、
「こんにちはー」
間延びした声が入り口の方から聞こえてきた。
「ちょうど来はったね」
美祢さんが入り口に繋がる襖を開けると、戸口の近くに一人の男が立っていた。
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