始まり -序章-

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「オレのこと覚えてるか?」 男が切れ長の目をこちらに向けて声をかける。 ‥これはうちに話しかけてるんだよね? もう一度周りを見回すが他に人影はなく、子ども達の姿もやはりない。 なんで今日はいないんだろ? 「簡易だが人払いの結界を張ってるからな」 「結界?」 何を言ってるんだこの人は。 しかもなんでうちの考えていることが分かったんだ。 「もう一度聞くが彩葉、オレのこと覚えてるか?」 「知りませんよ。あんたみたいな怪しい人。警察呼びますよ、警察。変質者がいるって」 スマホを鞄から取り出して準備OK もちろん画面は110番。 あとは発信ボタンを押すだけ。 「相変わらず面倒くさい奴だな。お前は」 「それは結構ですけど、なんで名前知ってるんですか。ストーカーですか」 「お前みたいな奴、だーれがストーキングするか」 心底嫌そうな顔で男が言う。 それはなにより。
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