記憶 -第一章-

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「あの‥いきなりで申し訳ないんですけどあなた‥誰ですか?」 おそるおそる目の前の美人さんに問いかける。 こんな美人ならそうそう忘れることはないと思うんだけど‥。 「ああ‥そうか、そうやったな。うちは美祢(みね)や。よろしゅうな」 美祢さんがどうしてか一瞬不思議そうな顔をした後、姿勢を正して頭を下げる。 「こ、こちらこそよろしくお願いします」 布団の上で慌てて頭を下げた。 あとここはどこ? なんでうちはこんなところで寝てたの? 「ふふ。相変わらず思っとることがよう分かるわぁ」 可愛らしいなぁ、とくすくすと口元を隠しながら上品に笑う。 相変わらず‥ってことは前にうちと会ったことあるってこと? 「まぁまぁ、そないに警戒せんの」 そんなこと言われましても。 自分は知らないのに、相手が自分のことを知ってたら警戒だってするよね。
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