記憶 -第一章-

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「梗夜様はね、魂の巫女様‥つまり彩葉ちゃんを守るためにこの時代に連れて来はったんよ」 魂の巫女?うちを守る?一体何から? 眉を寄せていればまたくすくすとおかしそうに笑う。 「不思議そうな顔してはるね」 「そりゃまあ‥さっぱり意味が分かりませんし」 魂の巫女なんて初めて聞いた。 漫画とか小説の中の世界みたい。 「まあ後から絶対に聞く話やし、なんも知らへんのも可哀想やから巫女様についてだけは説明しといてあげよか。しっかり聞きいよ」 「‥はい、お願いします」 何故だか急に重苦しくなった空気に崩しかけていた姿勢を正す。 「あんたはね『魂の巫女』言うて特別な力を持った巫女様なんよ。その名の通り魂‥そして命を司る巫女」 「魂と命を司る巫女‥」 なんだそりゃ。そんなもの今までに一度も聞いたことなんてない。 「彩葉ちゃん、あんた昔っから怪我したとき傷治るの早かったやろ?」 「はい、まぁ‥」 美祢さんの言う通り、うちは昔から怪我が治るのが周りの人より格段に早かった。 擦り傷程度なら二日、三日もあれば傷跡なんてなくなるし、普通の人なら完治に三ヶ月かかる骨折をしても一ヶ月で治ってしまうくらいには。
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