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テレビやラジオがあると言っても身体を動かさないとやはり鈍ってしまいます。
ヒロタカと久方ぶりに姿を見ることのできたタカユキ、それに若いお嬢さんと、みなに嫌がるような真似などはして欲しくはございません。
確かに縄で縛りつけておくようなやり方は面妖かも知れません。ですがわたくしどもはみな、危害を加えるつもりなどありはしないのでございます。
やり方はミズエさん次第です。あんなに大人しかったミズエさんの張り切りぶりには、目を見張るものがあったのでございました。
玉を入れるのを競う。それのどこがいけないとでも。どこが問題とでも。
ナシダの爺さんがもう待てないというように手にした玉を、的の籠にめがけて放り始めました。
「ずいぶんと上手いのう。さすがじゃわ」
イネさんが感心しておられます。
わたくしどもはこうして、一斉に手にした玉を、お若い方の頭の上にある籠へと目がけて放りはじめました。
いっぱーつ、にはーつ、さんぱーつ。
特に上手いのはナシダさんで、ほぼ百発百中で玉を中に入れるのでございます。
そりゃあ、的となっている方には多少の不憫はあるかも知れませんが、今日はクリスマスでございますから。
一年に一度のクリスマス。
それを意義深いものとすることに、なんであれこれ言われないといけないのか、そういう思いでございます。
わたくしは、ミズエさんから渡されたお手玉を、一心不乱に頭上にある的の籠へと目がけて投げておりました。
お手玉を的の中へと放り込む。それが楽しくて楽しくて仕方ないのでございます。
ほら、イネさんも活き活きとしてまいりました。
「ナシダの爺さんに負けてたまるかっちゅうねん」
ヒロタカはもっと喜ぶべきなのでございます。タカユキちゃんも、若い女の方も。
張り切って頑張らなければ、どんどん老けこんでしまいます。わたくしどもより老けこんでしまったら、どうしようもありますまい。
ほら、もっと玉をなげるのでございます。もっと玉をたくさん、玉を。
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