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「早く自由にしてよ」
百花はこの状況に気圧されないように声を張り上げたが、言葉を返すミズエの声色は、優しく怪しい響きになっていた。
「付き合ってるのね、二人」
「そうだけど。悪い?」
「クリスマス、この子と二人で過ごすつもりだったんでしょ」
「そうよ。なのにこんな場所に連れてこられて。早くここから出して」
「なんでもするって言ったわよね」
そう言うと、ミズエは勝田や茶髪の男性のほうを見ながら、もう一度同じ言葉を繰り返した。
「なんでもするって」
茶髪の男性の口角が少し上に上がった。
「あなた、いますぐ一人だけでここから逃げてもいいのよ。助けを呼びにいってね。そうしたければ、できるんだから」
隆幸がすがるような目で百花を見ていた。
「でも自分の言葉で、わたしたちに協力する、何でもするって言った」
当然、本心ではなかった。ただ手錠と首輪をはずして欲しいその一心で、百花の口から出た言葉、した行為だった。
「だから首輪と手錠を外したわ」
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