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「タカちゃん」
「百花」
淡路隆幸を抱きしめた百花は、ミズエの声に誘導されているように動いていた。
「言うとおりにすればあなた彼氏も自由になるのよ」
「百花、助けてくれ。この手錠と首輪を外すように伝えてくれ」
坂下百花が抱きしめた隆幸と唇を重ねると、素早く茶髪の白服がミズエの指示に従って、手錠をほどき、首輪とヘルメットを外した。
そしておもむろに服を脱がせた。
勝田の蹴りで苦痛に満ちている隆幸には抵抗する力はなく、茶髪のされるがままになり、まだ若い肉体を上半身、下半身ともにさらけだした。
「こんなところで」
百花は一瞬耳を疑った。自分の思ったことと同じことをミズエが口にしたからだ。
だが瞬時に哀願するような視線の隆幸が、怖いのか強く百花の身体を抱き寄せてきた。
もはや周りの全てのことは目に入らないというように。
隆幸の筋肉質の上半身が、百花の腕のなかで小刻みに震えている。
「言うとおりに。本能のおもむくままにじゃ」
本能? だが不思議と、直接に肉体的な危害は加えられていない百花は、なまめかしい感触が、心の中に渦となって湧き上がるのを感じていた。
「タカちゃん。こんなに傷つけられて」
隆幸の身体には勝田に蹴られた傷跡が生々しくできていた。
「タカちゃん。いけない…。いけない、タカちゃん」
百花が必死で愛撫すると、自然と隆幸の下半身がそれに呼応して隆起していた。
なんともいえない感情が湧きあがっている百花の背中を、ミズエの手がなぞった。
まるで、決心がつかない子供を、なだめすかすかのように。
ミズエの掌を肌に感じたまま、下になった隆幸の上で、百花はそっと全身を這わせ、これでもかと身体を動かしていった。
傷を付けられた隆幸が、だんだんと息を吹き返していくのがわかる。
「ああっ」
「恥じることなか」
誰に言い聞かせるのでもなく、そう呟いた車椅子の老女は満足げなように思えた。
***
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