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クラスで自分の居場所を確保するためには、ハゲタカのような振る舞いもしなければいけない。
そうしなければ居場所をなくし、退場せざるをえない状況に追い込まれるのだ。
隆幸は自分のキャラクターづくりに必死だった。
クラスのボスに睨まれて、演じたくもないのに演じたピエロのキャラクター。
一浪して大学に入り、高校時代の苦い思い出は捨て去ったと思っていたものの、父親を見ると、またあの悪夢が蘇ってくる。
強いものに服従しなければ生きていけない、この世界の厳然たる掟。
弱ければ弱いなりに知恵を働かせなければならない。
この場で戯言をいい、のたうち回っていた博隆に、肉親という思いは生じず、もはやハゲタカ以下に思えた。
彼女の百花は、自分なりに機転をきかせて、手錠と首輪の責め苦から逃れたのだ。
元来、人に見せるべきではない行為までして。
他人に決して見せたくない行為まで犯して。
そこまでして勝ち取った身体の自由だった。
それを、ただ泣き叫ぶだけで、どうにかなると思っているヤツもいる。
隆幸には、高価なスーツを汚し、ローファーを振りまわして、叫べば自由になると思っている博隆は、邪魔なだけの存在だった。
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