逆転

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「勝田さんって」 「ほら、声の大きな酒飲みじゃよ。ああ見えても私らには優しいんじゃ」 「なんで私たちを縛りつけたり、閉じ込めるようなまねをしてるの」 「お嬢さん」 それまで相好を崩していた老女が、急に真顔になった。 「私よりもミズエさんに聞いた方がいいじゃろ。呼んでくるか」 「いえ」 お茶を飲み干した百花は、老女の言葉の端々から、ミズエという女性の影響力の大きさを感じ取っていた。 「コップ、私が返しますから。どこに置いてあったんですか」 「いや、それはわしのじゃ」 老女はコップを百花から受け取ると、大事な秘密を伝えるように百花に言った。 「あそこに窓があるのがわかるか」 見ると広間から離れて個室へと通じる踊り場に、大きな窓があった。 「あの窓からミズエさんは来たんじゃ」 そう老女は小さな声で言うと、その後ケタケタと笑い声をあげた。 「来た? 来たってどういうこと」
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