クリスマス会へようこそ

招待状

一人ぼっち、ということで寂しいと思ったことは断じてございません。もう十年間も外に出ずに過ごしてきましたから、慣れっこになってしまったのでございます。家族の誰と最後に会話を交わしたのはいつだったのか、そんなことはどうでもよくなってしまいました。

最近でも、お隣で寝ていたキミさんが「家に帰りたい」と泣き出し始め、わたくしは「ここは楽園じゃ、ここは楽園じゃ」とキミさんに言ってきかせておりました。同室のイネさんもわたくしの言葉に何度も首を傾かせて「浮世の世界に未練なんか持ってちゃイカンよ」と諭しておりました。

キミさんには度々わたくし達のもとを訪れる娘さんがおりました。菓子パンやチョコレートを入れた袋を持ってやって来ては、同室のわたくしとイネさんにも親しげに話しかけていたものでした。