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翌朝、私はいつもより一本早い電車に乗ってデパートのある駅に着いた。
早いといっても店は10時開店だから今は8時半をまわったところ。普通の会社よりはのんびりな朝だ。
駅の建物から一歩外に出ると秋のさっぱりとした風が頬を撫でた。
少し冷たさも感じる。
大通りの街路樹も仄かに色付き始めてきていて、見上げる空の高さに、昨夜から持ち越してしまったもやもやもスーッと抜けていく気がする。
「うん、いい感じ。」
デパートは三つ先の交差点を渡った所にあり、私の行きつけの眼鏡屋さん「ルックメガネ」はその手前、二つ目の交差点を過ぎたところにある。
「帰りに寄れるかな?」
シフトでは今日は6時にあがれる事になってはいるのだけれど。
まだ閉まっているシャッターを横目に少し足を早めた。
三つ目の交差点を曲がって店舗ビルの裏手に回って社員棟へ入る。
社員棟は一階には商品搬入口などがあり、二階は管理事務所と会議室、社員食堂が三階、その上がロッカールームになっている。
ロッカーで制服に着替えて二階にある連絡通路を通り店舗ビルへ。
社員用(商品用)エレベーター、階段、倉庫があるバックヤードを抜けて、売場への扉近くにある事務所に入る。
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