8 哀しい接点

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「カンパ~イ!」 「今年もお世話になりました!」 「あと1ヶ月、頑張りましょーっ」 カチン、カチンとグラスを合わせる音がして、いつもの様に飲み会、今回は忘年会、が始まった。 何人かは休みだったり、用事があったりで、今日集まったのは9人。 みんな20代後半。 羽目を外してるように盛り上がりつつ、翌日の仕事の事もチラリ考えながらのお酒。 私はあまり強くないので、ビールで乾杯の後はウーロンハイをチビチビと飲みながら、専らおつまみに手を伸ばす。 長いテーブル席の一番端に座る私の前に菜々子ちゃん、横にはやっぱり北島がしっかり座ってる。 「北島~!また田上ちゃん独り占めかよ~、俺も話したいのに~」 北島の同期で婦人服の金谷君がそんな冗談を言ってからかってきたから「あはは」と笑いで答えた。 「田上さん、金谷さん結構本気みたいですよ。どうします?北島さん。」 菜々子ちゃんの友達でバッグ売場の織田メグミちゃんが、自分のグラスとお箸を持って北島の前の席に移動してきて言った。 「大丈夫、ブロックする。」 自信有り気に笑う北島に、私は苦笑い。 そんな事は気にせずに、かなり酔ってきているらしいメグミちゃんは直ぐに話題を変えてきた。 ・
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