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「あのさ、貝塚課長の事なんだけどさ、」
そういえばメグミちゃんは貝塚課長のファンだって菜々子ちゃんが言ってたな。
「私、昨日用事があって本店に行ってきたんだけど、一緒にお昼食べたバッグ売場の社員さんから聞いちゃったんだよね。」
そこまで言って、躊躇するように黙ってしまったメグミちゃん。
「何を?まさかここで“やっぱり内緒”とかは無いよね?」
菜々子ちゃんに聞かれたメグミちゃんが話し出す。
「うん、あのね、貝塚課長が独身の理由…?」
ドキッとした私と、えっと言う顔をした菜々子ちゃんの目が合った。
隣の北島も私を見てる気配がした。
…何となく聞かない方が良いような気がする。
でも、聞いてすっきりとした方が良いのかもしれない。
…ううん、ただ課長の事、知りたいんだ。
「課長ね、結婚を考えてお付き合いしていた人がいたんだって。四年位前だって言ってたかな。」
「え、現在じゃなくて?」
菜々子ちゃんが私の疑問を口にしてくれた。
「…うん、その人、亡くなったんだって、病気で。」
メグミちゃんの声が小さくなって、私も菜々子ちゃんも北島も何も言えなかった。
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