1645人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫…。」
「じゃないだろ。…金谷。」
少しずつ周りの声や音がはっきりしてきて。
「どうしたの?あれ?田上ちゃん…」
「調子悪いみたいだから送ってくる。二次会で移動したら一応メールしといて。」
金谷君と北島の会話に「どーしたの?」って酔った声が混じる。
一方では菜々子ちゃんとメグミちゃんが話してるのが聞こえた。
「メグ、この話はあまり他には…。」
「ん、分かってる。菜々子たちだから、聞いて欲しくて話したんだもん。」
結局、北島に促されて、みんなに「ゴメン、お先に」と言いながらお店を出た。
「一人で帰れるから…」
タクシーを拾おうとする北島に声を掛ける。
「何言ってんだ。まだふらついてるだろ。」
一蹴されて諦めのため息をついた。
タクシーの中は静かで、少し落ち着いてきた私に遠慮がちな声が聞いてきた。
「…知り合い、だったのか?その、課長の…」
「…入社の時の合宿研修の、インストラクターで…。」
そこまで言った時、込み上げてきた嗚咽をこらえた喉がグッと鳴った。
・
最初のコメントを投稿しよう!