8 哀しい接点

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「大丈夫…。」 「じゃないだろ。…金谷。」 少しずつ周りの声や音がはっきりしてきて。 「どうしたの?あれ?田上ちゃん…」 「調子悪いみたいだから送ってくる。二次会で移動したら一応メールしといて。」 金谷君と北島の会話に「どーしたの?」って酔った声が混じる。 一方では菜々子ちゃんとメグミちゃんが話してるのが聞こえた。 「メグ、この話はあまり他には…。」 「ん、分かってる。菜々子たちだから、聞いて欲しくて話したんだもん。」 結局、北島に促されて、みんなに「ゴメン、お先に」と言いながらお店を出た。 「一人で帰れるから…」 タクシーを拾おうとする北島に声を掛ける。 「何言ってんだ。まだふらついてるだろ。」 一蹴されて諦めのため息をついた。 タクシーの中は静かで、少し落ち着いてきた私に遠慮がちな声が聞いてきた。 「…知り合い、だったのか?その、課長の…」 「…入社の時の合宿研修の、インストラクターで…。」 そこまで言った時、込み上げてきた嗚咽をこらえた喉がグッと鳴った。 ・
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