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北島はすぐに寝ろと言ったけど、忘れていた寒さを急に感じてこのままでは眠れそうもない。
「…お風呂」
靴を脱いで、バッグを置き、スイッチを押すと、いつもの音声がお湯張り開始を告げる。
気を紛らわせようと、キッチンを片付けたりしているうちに、また音声が流れて、お風呂が沸きました、と教えてくれた。
お風呂から出た時には部屋も温まっていて、私はソファに座ってため息をついた。
お風呂に入りながらもずっと考えていて、でも考えてもどうしようもない事だとも分かっていて。
私はメガネをかけて、ローテーブルの上のリモコンに手を伸ばしテレビを付けた。
画面に映ったのは、クリスマスイルミネーション特集の文字と、輝く光を纏ったツリー。
『課長だって、本当は大切な人と一緒に見たいですよね。』
『…ああ、出来ればそうしたい。』
蘇る、クリスマスツリーを前にした会話。
テレビ画面の中のキラキラが滲んで広がる。
…ごめんなさい、課長。あんな事言って。
ごめんなさい、凪子さん。何も知らなくて。
俯いて零した涙がレンズに溜まるから、メガネを外して顔を上げると、テレビ画面がもっとぼんやりと滲んで見えた。
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