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「とりあえず、こうしてみようか? 明日の練習の時は、向かいあう相手の事を自分の好きな人に置き換えてみるの。いつも笑顔で話してる、友達とか彼氏とか。」
凪子さんは「どう?」という顔を向けてきた。
「最初はね、形からでいいいと思うの。…やってみて初めてわかる事や、変わる事があると思うから、田上さんにも、あとちょっと頑張ってみて欲しいな。」
「…はい。やってみます。」
思わず力が入った返事をした私に凪子さんは笑いかけてくれた。
「あ、田上さん、携帯持ってる?」
「え?あ、持ってます。」
私がポケットから携帯を出すと、凪子さんもポケットから取り出したそれを操作し始めた。
「良かったらアドレス交換しましょ?何かあったら連絡して。話くらい聞けるから、ね。」
「はいっ、ありがとうございます!」
不安の塊だった私にはその言葉は本当に心強くて嬉しいものだった。
それと同時に、インストラクターは大変だな、と思った。
私みたいなのにまで気配りしてくれて、申し訳なくて、やはり明日は頑張ろうと心に決めた。
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