9 憧れ

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「凪子と貝塚君は高卒と大卒だったけど同期入社だったの。」 私もね、と風間さんは付け足した。 「最初はそれぞれ別のグループで遊んでいて、二人が付き合い始めたのはかなり後になってからだったけど。落ち着いていて、仲が良くて、お似合いだった。」 …想像できる。 悲しいのとはちょっと違う様な胸の痛み。 「凪子が自分の体がおかしいと感じ始めた頃、貝塚君は本部付けのバイヤーになって、出張も増えてすれ違いが多くなってた。」 風間さんはそこで一つ溜め息を吐いた。 「だから凪子は隠せてしまったの。頑張ってる貝塚君に心配かけたくなくて…、そして、嘘をついた。」 …どんな、嘘を? なんだか声が出なくて風間さんを見つめた。 「もう待っていられない。放って置かれた間に、好きな人が出来たって。…後は田上さんが聞いたのと同じよ。」 「…課長は、それを信じたんですか?」 泣きそうで声が震える。 「…凪子は、駆け引きしたり嘘をついたりしない子だった、でしょ?」 それに、と風間さんが辛そうに笑った。 「凪子の友達も、凪子に協力したから。」 ・
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