2 その日

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「頼りにしてます。」 「…はい。私なんかでもお役にたてれば…。」 「…主任が、私なんか、って言ってちゃ困る。」 あ、急に上司っぽいトーンになった。 「…はい。あの、私、催事場の様子見て来ますね。」 上を指差しながら言うと、課長は「お願いします。」と笑顔で言って、また棚の男児用のシャツに目を落とした。 「子供服もお洒落だな…」 そんな呟きを背にしながら一旦バックヤードに戻りエレベーターを待つ。 課長の真面目さが少し意外でもあり、嬉しくもあり。 だけどあまり私に期待しないで欲しい…とも思う。 そりゃ、やれるだけの事はちゃんとやってるつもりだけど。 エレベーターが開いて荷物と一緒に何人かの社員が乗っていたので挨拶をして乗り込んだ。 …それにしても、とさっきの課長の姿を思い浮かべる。 細身だと思っていたが意外と背中や胸の張りがあるのに驚いた。 今朝は上着を脱いでいて、白いワイシャツと体にぴったりしたベスト姿だったから目についたのかもしれない。 前髪を上げたすっきりとした額。眉根を寄せて資料を見る感じはちょっと神経質そう…? …って、私、結構観察してたんだな。 とにかく、なかなか雰囲気の良い真面目な上司、って感じ…。 そんな事を考えているうちに、各階に停まりながらエレベーターは催事場のある六階に着いた。 ・
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