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風間さんに会いに行った翌日から、カレンダーは12月に変わった。
私は自分で思っているよりショックを受けていたらしく、気持ちのコントロールが上手く出来ずにここ数日を過ごしていた。
私の中では少し近くなりすぎていた課長との距離を、自然に上司と部下のそれに戻そうと思っていたのに。
「おはようございます。」
「ああ、おはよう、田上。」
いつもと同じ様にしているつもりでも、やはり違う、私の気持ちが。
課長の笑顔に重なるひとつの面影。
心がギュッと痛くなって、余裕が無かった私は、ふと課長と合った視線を あからさまに外してしまった。
慌てて戻した視線の先には、課長の怪訝な表情。
それが何度か繰り返され、私は課長の話を視線を伏せて聞くようになった。
私にも、少し時間が必要なのかも知れない。
もちろん仕事はきちんとしているつもりだ。
特にお客様の前では絶対にプライベートの負の感情を出してはいけない。
「プロだからね。」
これも凪子さんがよく言っていた事。
先輩との事で落ち込んでいた時も、この言葉が職場での私をシャンとさせてくれた。
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