10 温かい場所

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華やいだ街の雰囲気にも、沈んだ気持ちはどうにもならなくて、自然に俯き加減になる。 『ダメですよ、ちゃんと前見て歩かないと…』 ふと浮かぶ想さんの言葉。 少し目線を上げてみた。 はい、気をつけます。 でもね、想さん、私、今、ちょっと辛くて。 自分の中の嫌な部分も見てしまって、だけどそれは誰にも見せたくなくて。 想さんは、誰かに嫉妬する事なんて無いですか? ルックメガネの閉まったシャッターの前に置かれた小さなクリスマスツリー。 一昨日までは遅くに通っても点いていた電飾の光が、昨日今日と消えている。 節電?なんて思いながら通り過ぎて駅へと急いだ。 駅前のスーパーで少し買い物をして、アパートの部屋に着いたのは 9時を過ぎた頃。 冷え切った部屋に、ため息と身震いを一度ずつ。 暖房を点けて、お風呂のボタンを押して。 部屋が温まるまで、とコートを脱いでベッドに潜り込んだ。 今年の冬はなんでこんなに寒いんだろう。 毛布をギュッと握って体を丸くした。 ・
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