10 温かい場所

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でもそれは、続く想さんの声にすぐにどこかに隠れた。 「今ホテルなんですけれど、此方は雪が降っていて…」 「雪、ですか?」 「はい、かなり強い降りで、此方でもこの時期には珍しいそうです。」 その雪のせいでは無いだろうが、電話の向こうはとても静かで、聞こえて来るのは想さんの声だけ。 「…静かですね。」 「そうですね。…それでかもしれません。」 「え…?」 「鈴さんの声が聞きたくなって、電話してしまいました。」 「……」 「鈴さん?」 私は空いている左手を頬に当てた。 …熱い。 「…迷惑でしたか?」 「…そんなこと、ありません。」 電話の向こうの想さんはどんな顔してるんだろう。 いつもの様に優しい笑みを浮かべてくれてる? 「想さん。」 「はい。」 「…ありがとうございます。」 「え…何、ですか?」 少しだけ揺れた想さんの声。 「…嬉しいです、電話。」 部屋の空気だけじゃなくて、冷えていた心の温度も上がった様な気がする。 「鈴さん…?」 「はい。」 「…何か、ありましたか?」 ・
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