10 温かい場所

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少し頑張って一人前食べたカレーはちゃんとカレーの味がした。 食器を洗って片付けてからお風呂に入る。 「…ふぅ」 湯船に浸かると相当冷えていたらしい足先がピリピリと痛い。 …不思議だなと思う。 一本の電話が食欲不振に効力を発したのは何故なんだろう。 気分転換になったから? それとも相手が想さんだからだろうか。 私の勘違いでなければ、想さんは確かに近付いて来ていて、 課長とは何も始まった訳では無いのに、凪子さんの事を知って1人でジタバタしている私は、想さんに癒やされ… ううん、癒された、なんてちょっと上から目線に感じる言葉は使いたくなくて。 想さんは…。 『まず鈴先輩が幸せになればいいんだと思います…』 いつかの菜々子ちゃんの言葉がふと頭を過ぎる。 だけど、そもそも私の幸せって何だろう。 そんな事言ったら、頭で考えすぎだって、また菜々子ちゃんに笑われそうだけど。 お風呂から出て、ドライヤーで髪を乾かす。 「伸びたな…」 相変わらず真っ黒でただ真っ直ぐな髪。 こんな髪が欲しかったと言った想さん。 私の声が聞きたいと、顔が見たいと、言ってくれる人。 ・
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