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閉店後の作業も終わり、休憩室でコーヒーを飲みながら、私と菜々子ちゃん、北島の三人は、「今日は忙しかったね」などと話しながら一息ついていた。
菜々子ちゃんが、私が背にしている入り口の方を見て「あ、」という顔をする。
すぐに人の気配がして声をかけられた。
「田上。」
グッと胃のあたりに力をいれる。
「はい。」
斜め上を見れば、私を見下ろす貝塚課長と目があった。
…やっぱり何故か不機嫌そう。
「明日休みだろう?販売計画、出来てるか?」
「あっ。はい、出来てます。」
菜々子ちゃんにも見て貰って完成させて、レジのカウンターの引き出しに入れておいたのを忙しくてすっかり忘れていた。
「レジカウンターにあるので、すぐ取ってきます。」
慌てて椅子から立ち上がり休憩室を出て配電盤でレジ付近の電気を点けていると、後から出て来た課長が隣に立った。
「確認したい事もあるから俺も行く。」
…菜々子ちゃんじゃ無いけれど、ピリピリを含んだ声がちょっと怖い。
促すように私の顔を見て歩き出した課長の背中を見ながら、仕方なく私も後を追った。
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