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そして
『ゴメン、鈴。
実は明日の夜、私たちは行かないの。
想さんの話、聞いて欲しくて、鈴が勘違いしてるの分かってたけど言えなくて。
でも、やっぱり、騙してるみたいでイヤで。
これを知ってどうするかは鈴次第だからね。
本当にごめんね。』
昨日届いた笙子からのメール。
そっか。
話があるって想さんは言っていたけど、少なくても最初は笙子たちもいるんだと勝手に思ってた。
食事行くのもいつも一緒だったから。
『分かった。ありがと。』
それだけ返信して。
今私は、いつもよりお洒落して、手土産のワインとチーズの包みを抱えて、想さんの部屋のドアの前に立っている。
この間の事もあるせいか、すごくドキドキして、ドアのチャイムのボタンを押す指先が緊張してる。
「はい。」
想さんの声がして、ゆっくりとドアが開いた。
「…こんばんは。」
「いらっしゃい、鈴さん。」
いつもと変わらない想さんの笑顔にほっとする。
「…おじゃま、します。」
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