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「…本社はどちらにあるんですか?」 「M市です。鈴さんのデパートの本店もそうですよね。」 「あ、はい、…あの、想さん、だったらどうしてここに?以前も別の販売店にいたって…。」 想さんは頷いてゆっくりと話し出す。 「社長は一人っ子で寂しかったのか、昔から僕の事を弟のように可愛がってくれました。それで、大学の時、言われたんです。 自分はルックメガネを父親の代より大きくしたい、だから僕に手伝って欲しいと。」 私が頷くと、想さんは少し困ったような顔をして微笑んだ。 「その頃の僕は特にやりたい事も無かったので…いわれるままルックに入社したんです。そこで、僕には販売を含めてメガネのことを勉強してから、本社に来て欲しいと。…30歳をメドに。」 想さんは今、29歳。 …想さんが、いなくなるの? 「鈴さん?」 「あ、はい。分かり、ました。」 それしか言葉が見つからなくて、そう言って俯いた。 「…分かってないでしょう?」 ため息混じりの想さんの声に顔を上げる。 「何故僕が、あなたにこの話をしているのか。」 ・
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