11 目を閉じる

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「…ごめんなさい。大丈夫です。」 私が言って、想さんの手が離れた。 …ハンカチ、欲しい。 食事をしたテーブルの椅子に置いていたバッグを見て、腰を上げようとした私を制して想さんがサッと立ちあがる。 バッグを取って私に「はい」と渡すと、奥にある二部屋のうち左側のドアに姿を消した。 想さんがいないうちに、メガネを外して目に溜まっていた涙を拭いて、またかけ直す。 はぁ…とひとつ息を吐いた時、カチャっと音がして想さんが部屋から出てきた。 此方に歩いてくる想さんは手に何か持っている。 …メガネケース? 「…隣に座ってもいいですか?」 降ってくる声に「…はい」と答えて体をずらしてソファの端に座り直す。 一人分より随分広いスペースにクスッと笑いながら想さんが長い脚を曲げて其処に座った。 「鈴さん。」 体を少し斜めにして想さんの方を向くと、コトンと音がして光沢のある薄いブルーのメガネケースが置かれた。 「想さん…これ、は?」 「開けてみてください。」 ・
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