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そっと手に取って少し力を入れてケースを開ける。
中から出てきたのはもちろんメガネなんだけれど。
「…綺麗。」
その華奢な女性用のフレームの色は、パール加工された上品なグレー。
ツルの部分にバラをモチーフにした繊細な透かし彫りが施されていて、その何カ所かに、碧い、石それともガラス?がはめ込まれている。
私、大好きだ、こういう感じ。
「多分、掛け心地も悪くないと思います。今までの鈴さんのメガネを参考にさせて貰いましたから。」
えっ?と想さんの顔を見ると、にっこり笑って肯いたけれど、すごく緊張しているのが分かる。
「…私、に?」
「はい。…僕がデザインしたものです。本店ではこういう仕事をする予定なんです。自社ブランドの企画やデザインを主に。」
「…想さんのデザインなんですか?」
手に持ったそのフレームをじっと見つめる。
「それが初めての作品、いえ製品なんです。」
フレームから想さんの顔に目を移す。
「どうしてそんな大事なものを、私に…」
「…鈴さんを思って作ったんですから、鈴さんにしか渡せないんです。」
胸が締め付けられるように痛くて、また涙が出てしまいそうになる。
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