2 その日

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―――カンカンカン 一気に階段を上り踊場でチラッと下に視線を投げると、左手で非常扉のドアノブを引く課長が見えた。 それは至って普通の感じで。 …そうだよね、時間にしたら課長に抱き留められていたのは10秒?20…30秒なんてなかったよね。 課長も驚いて固まったんだ、きっと。うん。 そういう事。 あ、なんか足元が変だと思ったらメガネがズレてた。 …これって結構恥ずかしい。見られてないよね? あれやこれやと考えながら、六階に着いた時には完全に酸欠で、足がガクガクしていた。 結局今日の昼食も2時を過ぎ、そして目の前には今日もまた北島がいる。 カレーを食べ終わって、水を飲んでため息ひとつ。 そういえば…と携帯を取り出して見ても、来ていたのはレンタルショップのお知らせメール。 で、もう一度ため息が出た。 「…なんだよ。」 「うん、…待ってるメールが来ないから。」 待ってるのはメガネの出来上がりのメール。 「…彼氏から?」 「え?…ハハハ、違うよ。メガネ屋さんから。」 「ふ~ん…」 また気の無い返事。 そういえば最近の北島は少し機嫌が悪いように見える。 …主任になってから、かも。 プレッシャーを感じてるのかなと一瞬思ったけれど、北島にそれは無いような気がした。 ・
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