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「あ、北島さん。お疲れ様です。」
菜々子ちゃんの声に顔を上げると、北島が立っていて「よっ」っと手を上げる。
「お疲れさ…ま…」
北島の後ろにもう一人。
メグちゃんが立ち上がって弾んだ声を出す。
「貝塚課長っ。来て下さったんですね。」
「…ああ、お疲れ様。」
課長はメグちゃんから菜々子ちゃん、そして私に移した視線を一瞬止めて、最後に想さんへ。
「…藤野さん。お久しぶりです。」
「こんばんは。すみません、おじゃましてます。」
想さんが立ち上がって挨拶をすると、北島がちょっと苦い顔をした。
「…こちらは、確か、紳士服の?」
「北島です、よろしく。」
「ルックメガネの藤野です。」
私の目の前でそんな挨拶は交わされて。
あ、さっきのメール?
菜々子ちゃんを見ると、ちょうど私の様子を窺っていたみたいで、「エヘッ」っと笑って肩を竦める。
「エヘッ」で誤魔化されても…。
北島は来るかもと思ったけど、課長が来るなんて予想外だった。
メグちゃんの為なんだろうけど、
正直、私は動揺してる。
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