1645人が本棚に入れています
本棚に追加
だけど、それを隠して想さんに声をかける。
このテーブル席は四人用だから。
想さんの腕に手を掛けてちょっと引っ張る。
「私達は席移りましょう。」
「あ、そうですね。」
「いやっ、せっかくだし。…すみません、あっちの席に移っていいですか?」
北島がここより広いテーブル席を指して、店員さんが「どうぞ」と返事をした。
平日で週末でもないから空いているのが、良かったような、困ったような…。
「じゃあ、みんなで移動しましょ。」
菜々子ちゃんに促されて、それぞれ自分の飲み物やお箸を持って、おつまみも移動。
その中で気付かれないように小さくため息をついた。
「…どうした?」
気遣うような声に顔を上げる。
「えっ。いえ。…それより驚きました、課長、珍しいですよね、個人的な飲み会に顔出されるのは。」
「そうかな?…たまにはな。…田上は、」
何か言いかけた課長と合った視線は、メグちゃんの声に弾かれた。
「課長っ、どうぞ。こっちに座ってください。」
「…ああ。」
「何にしますか?…」
並んで座る二人を眺める。
メグちゃんがとっても嬉しそうで、いいなぁ、と思う。
この頃、髪の色や服装が少し大人っぽく変わったのは、課長を意識してなんだろう。
・
最初のコメントを投稿しよう!