12 顔合わせ

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だけど、それを隠して想さんに声をかける。 このテーブル席は四人用だから。 想さんの腕に手を掛けてちょっと引っ張る。 「私達は席移りましょう。」 「あ、そうですね。」 「いやっ、せっかくだし。…すみません、あっちの席に移っていいですか?」 北島がここより広いテーブル席を指して、店員さんが「どうぞ」と返事をした。 平日で週末でもないから空いているのが、良かったような、困ったような…。 「じゃあ、みんなで移動しましょ。」 菜々子ちゃんに促されて、それぞれ自分の飲み物やお箸を持って、おつまみも移動。 その中で気付かれないように小さくため息をついた。 「…どうした?」 気遣うような声に顔を上げる。 「えっ。いえ。…それより驚きました、課長、珍しいですよね、個人的な飲み会に顔出されるのは。」 「そうかな?…たまにはな。…田上は、」 何か言いかけた課長と合った視線は、メグちゃんの声に弾かれた。 「課長っ、どうぞ。こっちに座ってください。」 「…ああ。」 「何にしますか?…」 並んで座る二人を眺める。 メグちゃんがとっても嬉しそうで、いいなぁ、と思う。 この頃、髪の色や服装が少し大人っぽく変わったのは、課長を意識してなんだろう。 ・
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