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「鈴さん?」
私はウーロンハイのグラスを両手で包んだままぼんやりしていたみたいで。
その声にはっとして横を見上げると、想さんは私を見てクスッと笑った。
あれ、想さんのこの目の感じは、ちょっと酔っているのかも。
「お前、こんな所でボーっとすんなよ」
想さんの向かいに座る北島が呆れた声をかけてくる。
「あ、うん、ごめん。」
「…お二人は仲が良いんですね。」
「ええ、同じフロアで、同い年なので。藤野さんはコイツとはいつから知り合いなんですか?」
…北島、また好戦的になってない?
「知り合ったのは一昨年の秋頃ですが、鈴さんは店長の奥様のお友達なので、特別に親しくさせていただいてます。」
ね、と言うように私を見るから思わず頷いてしまう。
「…へぇ、そうだったんだ?」
不満顔の北島に、私が縁結びの神なんだと説明すると少し態度が柔らかくなってホッとした。
と思ったのに。
「それで田上さんと藤野さんはお付き合いしてるんですか?」
メグちゃん…それは。
好奇心いっぱいの目をして聞いてくるメグちゃんの隣で課長も此方に顔を向けてきた。
「いいえ、残念ながら…まだ。」
少し寂しそうに微笑みながら、想さんがメグちゃんに答える。
「残念ながらって事は、」
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