12 顔合わせ

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北島が想さんを真っ直ぐに見て言った。 「藤野さんは、コイツの事、好きなんですか?」 「北島っ、ちょっと…」 いい加減にして、と言おうとした私の声は、想さんの返事に遮られた。 「はい、好きです。」 「うゎ」と声を漏らしたのはメグちゃん?菜々子ちゃん? そして想さんは、北島から私に視線を移した。 「とても、大事な人だと思っています。」 優しい眼差しは、私だけを見てる。 固まる私に笑いかけた後、もう一度北島に向いた想さんの声のトーンが少し変わって。 「なので、北島さんが鈴さんの事を“コイツ”と呼ぶのはあまり気分のよいものではないのですが。」 実は北島は今まで私の事を“コイツ”と言った事は無いように思う。 …多分、対抗意識だ。 北島もチラッと私を見て気まずい顔で黙り込む。 …この雰囲気、どうしたらいいの? 隣の菜々子ちゃんに助けを求める。 「モテキ、ですね、鈴先輩。」 面白がらないで何とかして欲しい。 課長もいるんだよ? その時。 「あの~、藤野さん、」 メグちゃん、今度は何聞くの? 「もしかして、あの噂の相手って…」 「あの噂?」 想さんが首を傾げる。 ・
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