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北島が想さんを真っ直ぐに見て言った。
「藤野さんは、コイツの事、好きなんですか?」
「北島っ、ちょっと…」
いい加減にして、と言おうとした私の声は、想さんの返事に遮られた。
「はい、好きです。」
「うゎ」と声を漏らしたのはメグちゃん?菜々子ちゃん?
そして想さんは、北島から私に視線を移した。
「とても、大事な人だと思っています。」
優しい眼差しは、私だけを見てる。
固まる私に笑いかけた後、もう一度北島に向いた想さんの声のトーンが少し変わって。
「なので、北島さんが鈴さんの事を“コイツ”と呼ぶのはあまり気分のよいものではないのですが。」
実は北島は今まで私の事を“コイツ”と言った事は無いように思う。
…多分、対抗意識だ。
北島もチラッと私を見て気まずい顔で黙り込む。
…この雰囲気、どうしたらいいの?
隣の菜々子ちゃんに助けを求める。
「モテキ、ですね、鈴先輩。」
面白がらないで何とかして欲しい。
課長もいるんだよ?
その時。
「あの~、藤野さん、」
メグちゃん、今度は何聞くの?
「もしかして、あの噂の相手って…」
「あの噂?」
想さんが首を傾げる。
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