12 顔合わせ

12/15
前へ
/335ページ
次へ
翌日休みなのはメグちゃんだけだったので、課長の言葉でみんな帰る事にした。 お代は男性三人で払ってくれたので、お礼を言って外に出ると、北風が火照った頬を冷やすように吹き付けてくる。 「うわ、寒~い。」 メグちゃんはそう言いながらツツっと課長に寄り添った。 駅のロータリーまで一団で歩く。 「じゃあ、私はメグと一緒にタクシーで帰りますね。」 と菜々子ちゃんは結構酔っているメグちゃんの腕を引いた。 「俺はまだ電車あるから。田上は?」 北島に聞かれて、そんなに酔っていない私も電車で帰ろうかと思った時、 「僕が送っていきます。」 と言ってくれた想さんを課長が制した。 「いや、田上は俺が。方向が一緒だからタクシーで途中で降ろしていくよ。」 「えっ」 そういえば確か課長の家、マンションらしいが、は、駅にすると私の降りる駅の二つ先になると聞いていた。 「あ…」 思わず想さんの顔を仰ぐと、少し笑って頷いてくれた。 「…じゃあ、お願いします。」 「ああ。行こう。藤野さん、今度は磐田店長も一緒に飲みましょう。」 「はい、ぜひ。…鈴さん、また連絡します。」 「はい。」 そしてそれぞれ「おやすみなさい」「お疲れ様でした」などの挨拶を交わして、客待ちしていたタクシーに乗り込んだ。 ・
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1645人が本棚に入れています
本棚に追加