12 顔合わせ

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北島と想さんに見送られてタクシーは走り出した。 一度後ろを振り向くと、二人は何か話しているように見え、そして近付く女の子の姿…。 「……」 顔を前に向けて座席シートに体を預ける。 「飲みにいきませんか?」なんて誘われてるんだろうか? 考えても仕方ないのだけれどやっぱりため息が出そうになるのを、隣に座る課長の手前ガマンする。 課長は目を閉じて腕を組んでいた。 そこそこ飲んでいたようだから眠いのかもしれない。 運転手さんも話しかけてこないタイプみたいでありがたい。 …暫し窓の外の様々な色の灯りが流れていくのを見ていると、課長が私の名前を呼んだ。 「田上。」 「はい。」 顔を窓から課長の方に向ける。 「…泣いたのか?」 「え…?」 突然の、そして一番聞かれたくない質問に狼狽える。 「…クリスマス前なら、田上の様子が気になって話をした頃だな。」 「……」 何も言えずにいると、フッと課長が小さく笑ったような気がした。 「俺の前では泣けないか…」 「…あの?」 「藤野さんには話せても、俺には無理なんだな…」 低く呟くような声は少し硬くて、なんだか咎められているような気さえして、悲しくなる。 「…はい、課長には言えません。それに、想さんにも話してません。想さんは、ただ…」 …ただ、抱き寄せてくれただけ。 ・
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