2 その日

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午後4時過ぎになって、お客様の姿が少ないのを見計い、菜々子ちゃんと私は通路側のラックを挟んで来週の売り場のレイアウトをどうしようか、と話していた。 「そろそろジャケットやコート前に出そうか?」 「そうですね、風冷たくなって来ましたし。」 話しながらふと視線を前方に投げると、菜々子ちゃんの肩越し、通路の向こうの紳士服売場から北島がこちらに歩いて来るのが目に入った。 午後の休憩に行くのかな?とぼんやり思いながら、話の続きをしようと菜々子ちゃんに目を戻す。 「…菜々子ちゃん?」 158㎝の私よりちょっと背が低い菜々子ちゃんが、ビックリしたようにクリッとした目を見開いて私を見上げて… ん、私じゃなくて、私の後ろ斜め上?に視線を向けて固まって…る? 「鈴さん。」 私の名前を呼ぶ声が降ってきた。 それはちょうど菜々子ちゃんの視線の先辺りから。 近くまで来ていた北島が足を止めるのを目の端に捉えながら私は振り向いた。 「想さん。」 ・
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