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私はそのまま北島と昼食をとりに社員食堂へ。
事務所に居なかった課長と風間さんの姿はここにもなかったから、多分外へ食べに行ったのだろう。
凪子さんの話をするために。
「…北島。昨日私と課長がタクシーに乗った後、想さんと何か話してたよね?」
今日の日替わりメニューの中華焼きそばを食べながら、私が聞いたのは、昨夜から気になっていたこと。
「ん、ああ、大したことは話してないよ。寒いから早く帰りましょう、みたいな?」
「そっか。…でも女の子に声掛けられてた、でしょ?」
「ははっ、聞きたかったのはそれか。」
北島がニヤニヤ笑うので居心地が悪くなる。
「心配するな。藤野さん、全然相手にしてなかったから。誘いもキッパリ断ってたし。あ、もちろん俺もね。」
そう言った後、ゴクゴクとグラスの水を飲み干す北島。
「…藤野さんの目、全然違うんだよ。お前を見る時のあの甘い感じ、一切ナシ。声掛けてきたのすごくカワイイ子だったんだけど。」
「あ…、そう、なの?」
北島が想さんの事をそんな風に言うなんて、ちょっと意外…。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、
「あ~、別に藤野さんの事、応援してるわけじゃないけどさ。…俺は、田上には、笑顔でいられる恋愛をしてほしいんだよ。」
そう言って北島は私の目を見つめてきた。
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